春、鳥たちの恋の季節ですね。
このところイソヒヨドリがまだ真っ暗なうちからはりきってさえずるので、目が覚めてしまいます。時計を見ると5時過ぎ。石垣島の遅い日の出の、40分ほど前です。
耳を澄ましていると、イソヒヨとは違う鳥の声も聞こえます。イソヒヨがひときわ高い声で主旋律を奏でるかたわら、低い声で短いフレーズを繰り返しているのは誰かしら?
そもそもなぜ鳥はまだ暗いうちから鳴き出すのでしょう?
まだ暗いのにどうして朝が近いとわかるのでしょう?
鳥たちの夜明けコーラスに聴き入っていると次々と疑問がわいてきて、もう眠れません。

『歌う鳥のキモチ』(石塚徹著/山と渓谷社)によると、まず春になると日が長くなり、その変化が内分泌系に作用して 雄性ホルモンの分泌を促し、歌いたい気持ちにさせるのだそう。夜明け時はメスがもっとも受精可能な時間帯なので、そのタイミングでメスを呼びたいのだといいます。
また、夜明けに誰よりも早く歌い始め、長いこと歌うオスほど多くのメスを射止め、婚外交尾にも成功し、よその巣のひなの父親にもなれるとか。朝、いちばんにさえずり出すのは年長のオスに多く、未明にさえずる行動がより多くのメスを受精させるのに有利だったため、その行動が進化の過程で洗練されてきたのだといいます。
確かにいちばん最初に聞こえるさえずりはひときわよく通る美声で、歌うフレーズも長く美しいメロディ。同じイソヒヨドリのなかでもすぐれた歌者と思われます。
まだ暗いのに夜明けが近いとわかるのは、体内時計によるもの。名古屋大学の吉村崇教授(動物生理学) の研究によると、鶏が夜明け前にコケコッコーと鳴くのは、光や音など外部の刺激ではなく、体内時計によって制御されていることがつきとめられました。
鳥の体内時計は視床下部、脳の松果体、目 の三か所にあり、ウズラでは目の体内時計、スズメでは松果体の体内時計というように、鳥の種類によって重要な体内時計は異なるとか。鳥類など哺乳類以外の動物は体内時計が複数あるのにくらべ、哺乳類は進化の過程で視床下部の体内時計ひとつだけになってしまったのだそうです。
ちなみに夜明けコーラスを英語では Dawn Chorus 「ドーン・コーラス」 といいますが、地球の磁気圏と太陽風の相互作用により生ずる宇宙の音もドーン・コーラスと呼びます。
これは夜明けごろ、無線機から聞こえてくる鳥のさえずりに似た可聴域のノイズで、プラズマ現象によるもの。明け方に多く発生するのは、磁気圏尾部の夜側から注入される高エネルギー粒子が東方向にドリフトして朝方の領域へと移動し、数kHzの可聴域でホイッスラーモード波を発生させるから(Wikipediaより)。宇宙も振動して夜明けの音を奏でています。富田勲の『ドーン・コーラス』(1984)というアルバムは、宇宙からのパルス信号の波形をサンプリングして音源に使用しています。
鳥たちの体内時計は、そんな宇宙からの波動をキャッチしているのかもしれません。
そうして朝の恋の時間を過ごし、昼間はあちこちの森を飛び回って、木の実や虫をついばむのに忙しくなります。鳥に食べられた木の実のうち、消化されずに排泄された種子は土におろされ芽吹きます。果実食の鳥たちは種子散布者として木々と共進化して木を植え、森を作るのに貢献しているのです。
何を隠そう、わたしもその恩恵に大きくあずかっているひとり。うちの畑のシマグワは、ほとんどが自然に生えてきたものと、その枝を挿し木でふやしたものだからです。ヤマグワは種子散布される木の代表選手。ヒヨドリやメジロ、ムクドリ、カラスなどが好んで食べ、あちこちに種をまきます。

草を刈っていると20〜30cmの苗が伸びているのに気づき、それを刈らずに残しておくと1〜2年でぐんぐん成長して来るのです。

シマグワは内地の桑とちょっと違い、葉が大きく実も大きい種類。大きな葉は顔の大きさくらいあります。冬も落葉しないので一年中青い葉はあるけれど、やはり三月頃の若葉がつやつやと美しく、ひときわオーラを放っているので収穫したくなります。

木の本数は多くないのでシマグワ茶としてお届けできる量も限られており、ご不便をおかけしています。いえ、これはシマグワ茶だけでなく、取り扱っているすべてのハーブティーにいえますね(*´ω`*)。そもそも家族ふたりだけで少量多品目をほそぼそと営み、できたぶんだけを商品としてお届けしています。在庫についてのお問い合わせをたびたびいただいてしまい、申し訳ございません。

~お知らせ~
※4/6(月)~4/18(日)、ハーブティーの販売をお休みさせていただきます。
※GW期間のお休み 4/26(月)~5/5(水) 取扱商品すべての販売及びお問い合わせの返信をお休みさせていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。