10月は兆しの国

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樹上で完熟したタマヌの実

晴れた日はからりと乾いた空気に包まれる十月。子供のとき夢中になって読んだレイ・ブラッドベリの『10月はたそがれの国』を思い出し、あの頃の自分に一瞬もどって「きゅんです」? なこの頃。秋の日差しを楽しみながら完熟したタマヌの実集めに励んでいます。

そして実割り作業へ。褐色に色づいてしわしわになった外皮の下にはかたいコルク質、その中にクリーム色をしたすべすべの核があります。

自然のままならば、この核からやがて芽が出て生長し、何十年もたつと下の写真のような大木に育ちます。この小さな種ひとつひとつが、大いなる生命力を内包しています。

タマヌの種を手にとるとき、私はいつもこの大木の姿を思い浮かべ想像します。もしこの種から油を絞らず土におろしたとすれば、大地と光と水の力によって、今ありありとイメージしている大木が現実に現れ出てくるのだと。

これはシュタイナーが霊的認識の準備としてはじめに挙げている修行のひとつ。「種のなかには眼に見えぬ仕方で、後にそこから生長してくる植物全体のがそなわっている。修行者はこの不可視的なものに感情と思考のすべてを集中しなければならない。眼に見えぬものが見えるものになる。」(『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』(ルドルフ・シュタイナー著/筑摩書房)より。書籍では太字に傍点)

それが〝思考の力〟であり、「思考は時間の経過とともに行為になるので、人が考えることは行動することよりもはるかに重要」(The Karma of Untruthfulness より)とシュタイナーはいっています。もちろん行動も大切ですが、その行動のもとになるのが〝思考〟。普段何気なくしている〝考えごと〟によって、自分の未来は変わってくる。そしてその行為、現実化をスピードアップさせるのが〝意志〟だそうです。

なので、タマヌの実を手にとりながら、またその他さまざまな作業をしながら、知らず知らずにしている考えごと、流れてくる思考の内容には注意をします。無理に建設的なことや前向きなことばかり考えようとするのではなく、繰り返し現れてくる気になることも、できるだけ客観的に観察します。それは自分のなかの隠れた声、無意識からのサインである可能性があるからです。

特にこの10月からは来年の気が入り始めているので、来年を象徴するような出来事が起こったりします。「いいことがあったから来年はいい年だ」というような単純なことではなく、むしろうまくいかないことやトラブルのような形で現れると私は感じています。というのは、頓挫したり問題が起きたりしなければそれに対してどう対処をすればいいのか、何を改善すればいいのかが具体的に明らかにならないからです。

それは身体の「症状」と同じ。身体も症状によって、今の自分の状態、将来起こりうる病気について教えてくれます。痛みや症状があることで、自分を健康にするために現在の何がいけないのか、食事の内容や生活習慣のどこを改善すればいいのか具体的にわかってきますし、今すぐ行動に移しなさいと促してくれます。痛みや症状が何もなければ、健康によくない習慣をそのまま続けてしまうでしょう。

順調に運ばないことによって何を改善し、何を準備すればいいのかがわかり、それを具体的な行動に移すことで、万全な状態で来年の新たなステージに踏み出すことが出来ます。ですので、この10月から自分に起きている出来事や気持ちを注意深くみつめ、観察してみましょう。体調を崩した、喧嘩をした、仕事が暗礁に乗り上げた、進めていることが思うようにいかない、などのトラブルや、妙に何かが気になる、ひっかかる、人から言われた言葉が胸に刺さった、無性に何かに惹かれる…などなど。それはこれから開ける未来からのサイン、〝兆し〟かもしれません。

私自身も先日ちょっと体調を崩したことで、特に注意しなければならないウィークポイントを改めて自覚しましたし、それに向けた観点から食事や生活も調整しようと考えています。また、思わぬところから新たなお話をいただきましたが、こちらの準備ができていないことにより今回は進めることができなかった、ということがありました。自分では考えもしなかったことでしたが、そういう可能性もあるのだと気づくことができましたし、それを具体化するためには何を準備すればいいのか、もしくはその方向性についてどういう方針をとるべきかなど、考えるきっかけとなりました。シュールな夢もいくつかみたり…(それが何を象徴しているのかは、今のところまだよくわかりませんが)。

ひらめきやサインは、ひとりの時間にやってきます。そのひとつひとつの〝思考の種〟が、芽を伸ばして枝葉を広げ、花を咲かせて実を結ぶかどうかは千差万別。芽が出ない種もあれば、形を変えて別のことに役立つものもあるでしょう。タマヌの種が苗木となる代わりに、オイルとしてその生命力を与えてくれるように。

タマヌの核を粒のままコールドプレス(低温圧搾)で搾ったなうひあのタマヌオイルは、大木にまで生長する力を秘めた、自然の生命力そのままのオイル。乾燥が気になるこれからの季節、肌にすっとなじんだ後のなんともいえない心地よさやしっとり感、守られているような安心感など、ぜひ実感してみてください。

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