お休みをいただいて江戸時代の面影を今に残す、森野旧薬園を訪ねてきました。
京都からレンタカーで高速道路をひた走り、目に入ってきたのは明るくのどかな春の山々。
萌え出した草木のさまざまなきみどり色に、ところどころ見える薄桜に淡藤色。
日を浴びて光るやわらかな色合いがほんとうに美しく、まさに「山笑う」の景色。
運転しているので写真が撮れず、やっと撮れたのが上の一枚…
ああでも、本当はもっと広々と山々がかさなってあかるかったのです。
ハンドルを握りながら繰り返し浮かんできたのは、やっぱりこの一節。
「やまとはくにのまほろば たたなづくあおがき 山ごもれる やまとしうるはし」
倭は 国のまほろば 畳なづく 青垣 山隠れる 倭し美し
大和は国の中で一番良いところである。幾重にもかさなりあった青い垣根のような山やまにかこまれた大和はほんとうにうるわしいところであります。(倭建命)
熊襲や東国へ征討の旅に出ていた倭建命がふるさとを思って歌ったとされる歌。
九州や東国の険しい山々にくらべ、なんておだやかで優しい山の景色なのでしょうか。
そんな大和の東に位置する宇陀市大宇陀。
旧街道沿いの古い商家町に、吉野葛本舗、森野旧薬園がありました。
風に揺れる麻の暖簾がすがすがしい。
(つづく)