二年前、港を散歩していてすれちがったおばあが手にしていたのが、この葉っぱのブーケ。半分枯れてしまっているのに、豪華な花束みたいに大事そうに抱えているのがどうしても気になり、いったんは通り過ぎたものの引き返して尋ねました。
「これ? これね、薬草。毎日煎じてもう1年飲んでるけどね、糖尿病の糖がすっかり流れてしまったよ。もう、ぜんぜん出ない。名前? お友達からもらっているからわからないさー」
薬草? はていったいなんだろう。たしかに見覚えがあるけど、茶色くしおれている部分が多くてその場ではよくわからず、この写真を撮らせてもらって家に帰り、じっくり見てみると…あっ、パパイヤの葉ではないですか。
パパイヤといえばパパイン酵素。たんぱく質、糖質、脂質をすべて分解し、消化や代謝を促すことで知られています。糖の分解を促進するのですから、糖尿病に効果的というのも頷ける話。これらの酵素は青パパイヤとパパイヤの葉に多く含まれ、100℃の高温でも酵素活性を保つそう。
鹿児島大学 石畑名誉教授による、パパイヤ健康食品研究レポート
また、2010年には日米の合同研究で著しい抗がん特性が認められると発表されていました。
実をたくさん食べるのはたいへんだけど、葉をお茶にすれば1日何回でも飲めますね。パパイヤは畑に植えていたので、さっそく自分でも作って毎日飲んでいると、ジョーさん(夫)の中性脂肪の値が半分以下に下がり、血圧も下がってきたのです。
石垣島ではパパイヤなんてどこにでも植わっているし、市場にも青パパイヤはたくさん並んでいるけれど、パパイヤの葉のお茶は見当たりません。葉っぱのブーケを手にしていたおばあにも、半分枯れた葉ではなく、青々したパパイヤの葉のお茶を届けてあげたら喜ばれるのでは…。そう思ったのが、石垣島薬草園なうひあを始めたきっかけです。これまでも薬草は畑でいろいろ育てて使っていましたが、あのおばあに出合わなければ、たんに自分の暮らしに取り入れるだけだったでしょう。